【離婚問題】離婚協議書を公正証書にするべき理由
- 行政書士 服部祥明

- 1月19日
- 読了時間: 4分

夫婦の話し合いで決めた離婚条件を記録する「離婚協議書」は、離婚後のトラブルを防ぐために重要な役割を果たします。
さらに、離婚協議書を私文書ではなく、公正証書にしておけば、もし、相手が約束を守らない場合には、財産の差し押さえによる強制力を発揮することができます。養育費や慰謝料など、お金に関する離婚協議の取り決めを確実にするためには、公正証書化しておくことをお勧めします。
離婚協議書と離婚公正証書
(1)離婚協議書とは
離婚に伴い、子どもの親権をどちらが取得するか、養育費や慰謝料はいつまでどのように支払うか、財産はどのように分けるのか等、様々な取り決めをすることになるでしょう。
これらの取り決め事項を記載した文書を離婚協議書といいます。
(2)離婚公正証書
離婚協議書のうち、夫婦の取り決めによって作成した文書(私文書)のほか、公証役場で作成した離婚公正証書があります。
公正証書にすることで、離婚協議書に「執行力」が生まれ、約束通りの支払いがなければ、裁判を経ることなく、強制執行が可能になります。
離婚公正証書の効力
離婚の際に、公正証書を作成しておくことで生じる主な効力は以下のとおりです。
(1)紛失や偽造のリスクがない
公正証書は、原本が公証役場に保存され、手元の写しとして、債権者には正本を、債務者には謄本が交付されます。もし、手元の公正証書を紛失しても、再発行できます。
また、正本や謄本を偽造しても、原本を確認すれば偽造したことがすぐに判明します。
(2)高い証拠能力
公正証書は、公証役場の公証人がその権限に基づき、夫婦の協議で決定した条件を基に作成される公文書です。
公証人によって、その内容が法的に有効なものであり、夫婦双方の意思が公正証書に記載されたことと相違ないことが確認されます。
(3)強制執行認諾文言付き公正証書
強制執行認諾文言とは、「契約が履行されない場合はただちに強制執行を申し立てることを認めます」という趣旨の条項をいいます。
私文書による離婚協議書の場合は、裁判を提起し、勝訴判決を得てからでないと、強制執行の申立てはできません。強制執行認諾文言を付与することもできません。
しかし、公正証書には強制執行認諾文言を付与することが可能なので、これにより、養育費や慰謝料、財産分与など、金銭の支払いに関する条項がある場合は、裁判手続きを経ることなく強制執行によって相手の財産を差し押さえることができます。
(4)第三者からの情報取得手続
強制執行をするときは、差押えを行う銀行口座や給与を特定する必要があります。しかし、たとえば養育費を払ってくれない相手側の銀行口座も勤め先も知らなければ、強制執行による差押えができません。
銀行であれば、預貯金等の有無、支店名、口座番号、残高等、銀行口座情報を保持しています。日本年金機構であれば、相手方の勤務先を知っています。
公正証書があれば、「第三者からの情報取得手続」という手続きにより、裁判所に申し立てることで、銀行や日本年金機構等から債務者の財産についての情報を得ることができます。
離婚公正証書の課題
(1)作成に時間と費用がかかる
公正証書の作成には様々なハードルがあり、完成には一定の時間がかかるため、離婚までにある程度の時間を要します。
公証役場が開くのは平日の日中なので、互いに仕事をしている夫婦だと時間調整が難しい場合もあります。
公正証書を作成するためには、公証人の手数料が必要です。手数料は、公正証書に記載された請求金額によって変動します。そのため、財産分与や養育費の金額が大きい場合は、公正証書にする費用が高くなります。
(2)強制執行認諾条項の限界
強制執行認諾文言付き公正証書があっても、相手が働いていなかったり、財産がなければ差し押さえができません。相手方が経済的に困窮している場合は、強制的に徴収することができないことを知っておきましょう。





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