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【離婚問題】離婚時の年金分割の注意点

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 15 時間前
  • 読了時間: 4分


年金分割は、離婚時に夫婦が婚姻期間中に納めた厚生年金の保険料納付記録を分け合う制度です。分割の対象になるのは厚生年金だけで、国民年金に加入している自営業者は対象外です。

年金分割を利用しようとする際に、制度がよくわからないという人も多いと思います。そこで、今回は、年金分割の基本と注意点について解説します。

 

  年金分割とは

年金分割は、夫婦が離婚する際に、婚姻期間中の「厚生年金保険料納付記録」を分割することができる制度です。

日本の公的年金制度は、国民年金(1階部分)、厚生年金(2階部分)、企業年金(3階部分)という3階建ての構造になっています。このうち、年金分割の対象になるのは、2階部分である厚生年金です。

 

  合意分割と3号分割

年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。

(1)合意分割

合意分割は、年金を夫婦の合意または裁判所の判断によって分割する制度です。主に共働きの夫婦の場合に利用されています。

分割の割合は年金記録の少ない側(わけてもらう側。おもに妻)がもらえる上限が、最大で2分の1と決められています。それより少ない分割も可能ですが、実態としては、お互いに2分の1で分割するケースが多いです。

合意分割は、夫婦が共働きである場合や、平成20年3月31日以前に国民年金の第3号被保険者期間がある(専業主婦の期間があるなど)場合に選択されます。

(2)3号分割

3号分割は、専業主婦が会社員や公務員の夫に対して請求するケースが典型的です。

第3号被保険者(専業主婦)が、配偶者に扶養されていた期間の厚生年金の記録の2分の1を分割できる制度です。分割割合は変更できません。

(3)合意分割と3号分割の併用

3号分割は、2008年4月以降の婚姻期間が対象です。

したがって、「2008年4月以降に結婚して、ずっと扶養されていた」場合は、3号分割だけで完了しますが、それ以外のケース(婚姻期間が長い場合なども)は、合意分割との併用が必要です。

出産や子育てによって一時的に仕事を辞めて3号被保険者となり、その後、再就職して厚生年金に加入したケースでも、制度の併用が必要です。

 

  年金分割の手続きの流れ

(1)合意分割の場合
①「年金分割のための情報通知書」を入手する

年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出すると、一週間ほどで「年金分割のための情報通知書」が郵送で届きます。

②夫婦で話し合う

「情報通知書」に記載されている情報を元に、年金の按分割合を話し合います。分割の上限は50%と決まっています。合意内容は、合意書または公正証書として残します。

③年金事務所で手続き

年金分割の割合が決まったら、年金事務所で年金分割を請求します。離婚後、基本的には夫婦2人(代理人でも可能)で手続きします。

④「標準報酬改定通知書」を受け取る

一般的には、年金事務所に必要書類を提出してから2~3週間で「標準報酬改定通知書」が夫婦双方に送付され、手続きが完了します。

(2)3号分割の場合

3号分割は、合意分割とは異なり、第3号被保険者であった方(おもに妻)が、離婚後に年金事務所に行って1人で手続きできます。

年金事務所に「標準報酬改定請求」を提出し、「標準報酬改定通知書」を受け取れば手続きは完了です。

 

  年金分割のポイント

(1)年金分割の請求期限

年金分割には、離婚をした日の翌日から5年以内(2026年4月1日の法改正後)という期限が定められています。

(2)かならず離婚前に条件を決めておく

年金分割は元夫にとってはメリットがありません。離婚した後には、元夫と連絡する機会が少なくなるため、話し合いがすすまないと、請求期限を超えてしまうこともあり得ます。

したがって、離婚についての条件を決める際に、親権や養育費、財産分与など他の離婚条件に関する話し合いの流れで、年金分割についても定めるようにしましょう。なお、協議による合意が成立しない場合は、家庭裁判所において調停や審判によって年金分割を行うこともできますが、時間と費用がかかります。

 

  年金分割は公正証書で

公正証書を作成すれば、合意事項が法的に有効と認められるため、将来的な紛争を未然に防ぐことができます。

原則として、合意分割の場合は、離婚後の元夫婦の2人が一緒に年金事務所に出向いて手続きしなければなりませんが、公正証書があれば、相手方の同行を求める必要がなく、妻一人で手続きが完結します。離婚後の元夫婦が顔を合わせることもストレスになりますから、単独で手続きできるのは、公正証書における独自のメリットといえるでしょう。

 
 
 

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