【遺言】メモ書きやノートに書かれた遺言書は認められるか
- 行政書士 服部祥明

- 2025年11月12日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年11月21日

最初に結論からいうと、「自筆証書遺言」を書く用紙には法的な指定はありません。したがって、ノートやメモ、極端な話、チラシの裏でも有効になる可能性があります。
ただし、有効とされるためには、いくつかの条件を満たすことが必要です。そこで今回は、メモ書きやノートに書かれた遺言書が有効になるための条件について、解説します。
自筆証書遺言の条件
前提として、遺言能力とは,自分のする遺言の内容及びその結果を理解し判断できる能力のことで、遺言をするときに遺言能力を有することが必要とされています。
そのほか、冒頭でお伝えしたとおり、法律に定められた条件を満たしていれば、遺言書自体は有効として認められます。
自筆証書遺言が有効になる条件
(1)遺言者の直筆であること
ノートなどに書かれた遺言は、最初から最後まで、全て遺言者(亡くなった方)の直筆で書かれている必要があります。2019年の法改正において、添付する財産目録については、ワープロ作成、登記簿謄本や預貯金通帳のコピー、もしくは代筆でも良いとされることになりました。ただし、添付した財産目録全てに署名捺印が必要なので、注意してください。
遺言本文については、改正後も直筆でなければなりませんので注意しましょう。
なお、「遺言はこの文房具を用いて書きなさい」という法律上の規定はありませんが、フリクションペン(消えるボールペン)や鉛筆で書かれた遺言書は改竄が容易なので、のちのトラブルを考慮すると、使用を避けるべきでしょう。
(2)遺言者の意思で書かれていること
遺言書は、遺言者自身の意思で書かれていなければなりません。
誰かに強制されたり、誘導されて書いたものは無効です。直筆で書かれていたとしても、生前の遺言者の考え方とあまりにもかけ離れているものや違和感のある場合は、専門家に相談することをオススメします。
(3)財産内容が正確に記載されていること
遺産の内容は、正確に特定できるように記載されている必要があります。たとえば土地であれば所在、地番、地目、地積、表記まで、建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積までの正確な記載が必要です。「自宅の土地」や、「○町の家」などといった書き方では、財産内容を正確に特定することはできず、遺言書としては無効になってしまいます。
(4)作成日の記載があること
遺言書に作成日が記載されていないと無効です。表記は和暦でも西暦でも構いません。
「〇月吉日」という表現は、日付が特定できないので無効です。
(5)署名・捺印されていること
遺言書には署名・捺印がされていなければなりません。なお、捺印は実印である必要はありません。
印鑑ではなく,指印(拇印)でもよいとした判例がありますが,遺言者の死後に本人のものかどうかで争いになる可能性があります。
家庭裁判所の検認が必要
上記の条件を満たしたうえ、正式な遺言書として認められるためには、遺言者の最後の住所地を管轄している家庭裁判所で「検認」の手続きを受ける必要があります。
検認とは、裁判所において、遺言書が遺言者の意思で作成されたものであるかどうか、直筆のものであるかどうかを確認し、証明する手続きです。
家庭裁判所で検認を受ければ、メモやノートの遺言書は効力を正式に認められることとなります。
メモ書きやノートに遺言書を残すことはオススメしない
自筆証書遺言書の場合は、法的な要件を満たしてさえいれば、どんな紙に書かれていても有効ですが、メモやチラシの裏に書かれた遺言書は、紛失したり改竄される危険があります。
残された家族が相続で混乱しないためにも、遺言書は封筒に収めて封をして保管しましょう。
その他、遺言自体が無効になるわけではありませんが,記載内容について解釈がわかれるような不明確な内容の遺言を作成してしまうと,折角,相続紛争を防ぐために作成したにもかかわらず,遺言の解釈を巡って訴訟に発展する可能性があります。
したがって、遺言書を作成する際には、できれば法律のプロに作成のサポートを受けられることをオススメします。





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