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【相続問題】亡くなった親の銀行預金を解約する手順について

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 10月16日
  • 読了時間: 4分

更新日:11月21日


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「親が亡くなった後、銀行口座を放置するとどうなるの?」というご質問を受けることがあります。

たしかに銀行手続きは面倒なものです。相続手続きは想像以上にたくさんあるので、被相続人(亡くなった方)の銀行口座の残高が少額であれば、そのまま放置してしまうケースもあると思います。実際に、亡くなった方の銀行口座を放置しておいても罰則があるわけではありません。

しかし、銀行が口座名義人の死亡を知ると、その口座は凍結されてしまうのです。

 

  被相続人の口座が凍結される

亡くなった方の銀行口座が凍結されるのは、銀行が口座名義人が亡くなったことを知った段階です。

(1)口座が凍結されると現金を自由に引き出せなくなる

口座名義人の相続開始(亡くなったこと)を金融機関が把握すると、その口座は凍結されます。

凍結後は一切の入出金ができなくなります。生活費の引き出しはもちろん、公共料金などの引き落としも全てできなくなってしまいます。

(2)銀行は口座名義人の死亡を知っているか

それでは、銀行は口座名義人の死亡をどうやって知るのでしょうか。

多くの方が勘違いしていますが、たとえば市役所や税務署から連絡が入り、銀行が口座名義人が亡くなったことを知るという仕組みはありません。口座名義人が亡くなったことを親族等が銀行に連絡することによって、銀行は初めてその事実を知ることになり、その時点で口座が凍結されるのです。

 

  家族が故人の口座からお金を引き出すとどうなる

したがって、口座名義人が亡くなったことを誰かが銀行に伝えない限り、口座は凍結されないので、家族は普通にATMで預金を引き出せます。しかし、これには次の2つの問題があります。

(1)他の共同相続人との間でトラブルになることがある

口座名義人の預金口座は、遺産分割協議の対象となるため、本来は相続人全員の合意のもとで扱うべきものです。遺産分割協議が成立する前に、相続人の1人が勝手に引き出して使用するのは避けるべき行為です。

預金を引き出す必要がある場合は、かならず他の共同相続人の同意を得たうえで、必要最小限にとどめてください。引き出したお金を葬儀費用や未払いの医療費など、故人の支出として使った場合は、領収書を保管し、使途が正当であることを示せるようにしておくことも重要です。

(2)相続を単純承認したことになる

相続放棄を検討している場合は、口座のお金に手を付けると「単純承認」と判断され、相続放棄ができなくなるおそれがありますので、注意が必要です。

 

  凍結された口座から預金を引き出す方法

手続きに時間はかかるとはいえ、凍結された被相続人の口座を解約することは可能です。

(1)通常の相続手続き

●遺言書がある場合

口座名義人が遺言書を残している場合は、口座の継承を指定された相続人が銀行の指定する必要資料を準備したうえで、口座の預金を引き出すことができます。

●遺産分割協議書を作成する

遺言書がない場合は、相続人全員が遺産分割協議をおこない、「遺産分割協議書」を作成して、銀行に凍結された口座を解凍することができます。

重要なのは、「相続人全員の合意」が必要だということです。

●遺産分割前の相続預金の払戻し制度

遺産分割前の相続預貯金の払戻し制度は、相続財産の預貯金について、遺払戻しができる制度です。

遺産分割が成立する前であっても、1人の相続人が、他の相続人の同意なく、単独で相続預貯金の一部払戻しを受け、葬儀費用の支払いや相続債務の返済などに充てることができます。

なお、ひとつの金融機関から払い戻しを受けられる金額は、150万円が上限です。

 

  専門家のサポートを検討してください

今回紹介した亡くなった口座名義人の銀行口座の解約をはじめ、相続財産の処分についてはぜひ専門家のサポートをご検討ください。また、口座解約をスムーズにすすめるための遺言書や遺産分割協議書の作成については、相続に詳しい行政書士、司法書士などのプロに相談してください。

 
 
 

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