top of page
検索

【離婚問題】離婚後、養育費が支払われない場合の対応について

  • 執筆者の写真: 行政書士 服部祥明
    行政書士 服部祥明
  • 2025年11月19日
  • 読了時間: 5分

更新日:2025年11月21日



離婚後、元配偶者から子どもの養育費が支払われなくなったというトラブルは少なくありません。

離離婚の際、養育費を払ってもらう約束をし、離婚当初は支払われていても、期間が長くなると相手の払う意欲が失せて、払ってもらえなくなった。このようなお悩みを抱える方からのご相談をお受けすることがあります。

養育費の不払いが発生したときには、法的な対応を含めた適切な対処が必要です。

そこで今回は、養育費の不払いが起こったときの対処方法を解説していきます。

 

  養育費を請求する手段

(1)自分で連絡する

養育費が払われなかったときには、まずは相手に連絡して、養育費を請求します。

連絡方法は、電話、メールなど普段の連絡方法で構いませんが、「請求したこと」が記録に残すようにしましょう。

この場合、相手を問い詰めて態度を硬化させないよう、次の点に注意してください。

●一方的な要求をしない
●取り決めた金額以上の請求はしない
●相手を否定したり、感情的な伝え方をしない
●自分のためではなく子どものために必要だと伝える
(2)内容証明を送付する

直接連絡しても、支払いを拒否されたり無視されたりする場合は、内容証明郵便を検討しましょう。

内容証明郵便は、配達日時、書面の内容などを郵便局が記録してくれる郵便サービスです。そのため、証拠を保存する方法として、よく活用されています。

もちろん自分の名前で送付できますが、行政書士や司法書士、弁護士に依頼して、士業名義で送付することも可能です。「支払いをしなければ調停や審判などの法的手続きを利用する」という確固たる意思を示して心理的なプレッシャーをかけることが可能なので、支払いに応じてもらえる可能性が高まります。

(3)養育費請求調停・審判を申し立てる

相手が任意の養育費支払いに応じないときは、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てることが可能です。

養育費請求調停では、調停委員が間に入って双方で話し合い、養育費の金額や支払方法を決めていきます。本人同士で合意できない場合でも、調停委員が間に入ることで、相手を説得してくれることが期待できます。

調停で養育費の支払いに合意したら、調停調書が作成され、養育費を受け取ることができます。調停で合意できないときは不成立によって終了し、審判に移行して家庭裁判所の判断が示されます。

(4)強制執行

任意の協力によって払い続けてもらうのは困難な場合は、強制的に回収する方法へ進んでいく選択が可能です。方法は次のものがあります。

●履行勧告

履行勧告は、家庭裁判所から養育費を払わない相手に対して、養育費を払うように勧告してもらう方法で、調停調書・判決などを得ていれば利用することができます。

履行勧告は、家庭裁判所に電話で依頼することができます。申立手数料もかからないので、手軽に使える方法です。ただし、あくまでも任意の督促なので、相手が払わない場合には、罰則や強制力がありません。

●履行命令

履行命令は、家庭裁判所が養育費を支払わない相手に対して、養育費の支払いを命じる制度です。履行命令も、履行勧告と同じく、家庭裁判所に電話で申し立てでき、申立手数料もかかりません。

履行命令に正当な理由なく従わないと、10万円以下の過料に処されます。

制裁(10万円の過料)がある点で、強制力のある制度ですが、未払い額が大きい場合は、応じてもらえないかもしれません。

●強制執行

養育費がどうしても払われないときの最終手段が、強制執行(財産の差押え)です。強制執行は、その名のとおり、金銭債権を強制的に回収する手段です。

対象となる財産には、不動産、動産、債権(給与・預貯金など)があります。とくに養育費の強制執行で利用されるのが、給与の差押えです。

給与は、債務者側にとっても生活のために重要な金銭なので、差押えの上限が、給与の4分の1までとされていますが、養育費に関する債権の場合は、例外的に、給与の2分の1まで(もしくは33万円以上の金額の全て)を差し押さえることができます。

また、将来の養育費を、1回の強制執行で、将来の給与から回収し続けることができます。

強制執行をするためには、執行力のある「債務名義」が必要です。債務名義には、裁判所の判決、調停調書、審判書、強制執行認諾文言付き公正証書などがあります。

 

  養育費を請求する際の注意点

(1)養育費の請求には時効がある

養育費の請求には時効が存在します。払われない状態で長期間放置しておくと、過去の養育費を遡って支払ってもらうことはできなくなります。

養育費の時効は、離婚協議書に基づく請求の場合は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間、調停・審判に基づく請求の場合には10年間です。

(2)元配偶者の両親には支払い義務がない

養育費は、親が子を扶養する義務なので、その両親(子にとって祖父母)に支払い義務はありません。

ただし、法的な権利義務関係はなくても、養育費の支払いをお願いすることは問題ありません。

なお、民法は、直系血族に扶養義務があることを定めています。祖父母にとって孫は直系血族に該当するので、子どもが最低限の生活の維持が厳しい状態であれば、養育費とは別に、祖父母には扶助する義務が生じます。

 

  離婚協議書を公正証書で作成すべき理由

養育費が払われなくなったときの対処方法は、離婚時に公正証書を作成しているかどうかで大きく異なります。

公正証書以外のケース裁判所の判決、調停調書、審判書)では、裁判所への申し立てが必要ですが、強制執行認諾文言付き公正証書の場合は、裁判所への「届出」だけで手続きが完了します。

公正証書があると、養育費を滞納されたときの対応が非常に楽になるので、離婚時には、強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておくようお勧めします。

 
 
 

コメント


bottom of page